力強く、プリミティブな美しさに心打たれる
奥深さを感じる幾何学模様。鮮やかな緋色に心が奪われます。
ドンゴロスとは麻袋のことですが、分厚い麻生地に板締め絞りという技法で染められた貴重な作品です。コーヒー豆の輸入などに使われる麻袋の糸を解いたそのままの大きさでタペストリーに仕上げています。
芹澤入門当時の20歳くらいのころ、自習で使用する生地が入手困難な時代、アメ横で南京袋を買い求めてご自分用の染めをしたのがはじまり。
「染める相手としてはとても手ごわい素材。この板締め絞りでやっと手のうちに入った素材を生かすことが出来たと感じた」と話します。
「板締め絞りは三角や四角など折りたたんだ布を、板ではさんで幾何学的な模様をつくります。折り方や木のあて方によって色々な染めが楽しめますが、ドンゴロスはとても手強い素材なので万力でぎゅうぎゅうに絞めて染めます」。
荒々しい印象もある麻袋という素材を制して染めた貴重な作品。生命力溢れる力強い美しさに心が打たれます。
タペストリーですが、一つの絵画として飾っても。日々の暮らしのなかでこそ映える山内さんの作品、見るたびに豊かな気持ちになれます。
正統的民藝を受け継ぐ、確かな技と美
人間国宝の 故芹沢けい介(せりざわけいすけ)氏に師事し型染めを学んだ山内武志さん。80歳を超えてなお、精力的に作品づくりに日々取り組んでいます。山内さんが生み出した型紙は、手ぬぐいだけでも100種類以上といいます。なかでものれんは、そのダイナミックな図案でとても人気です。
伝統柄からオリジナルの抽象柄までその生命力あふれる作品に魅入られ収集するファンが多いというのも頷けます。華やかでありながら決して俗っぽくならず、品格があり使い込むほどに愛着の湧く逸品です。
■material:麻100%
麻袋を解いて染めた作品になります。
◎ご覧になっている環境により色印象が変わる可能性がございます。あらかじめご了承ください。
※洗濯は中性洗剤をお使いください。手洗いをおすすめします。タンブラー乾燥は避けて形を整えて陰干しにしてください。
※サイズは目安で、一枚一枚ばらつきがあります。
※手しごとのため、画像との色の違いや色ムラがある場合があります。
※織の処どころに凹凸や糸が出ている箇所がありますが、国内産で昔ながらの麻織物ならではの味わいです。手しごと品ならではとご理解ください。
■お手入れ
・ふだんは、固く絞ったふきんでなでるようにして汚れを軽く落としてください。 ・たたんで手洗いがおすすめです。
・白物を一緒に洗濯すると色移りするおそれがあります。
・漬け置き洗いは厳禁です。色移りしやすい状態となります。
・直射日光を避け、陰干しにして下さい。
商品のつくり手について
丁寧な手しごとから生まれる、唯一無二の型染め
明治から大正時代にかけて、型染めの産地として知られていた浜松。天竜川を水源とした豊富な清水に恵まれ、山風が吹くこの地は、洗いと乾燥が鍵を握る染め物にとって絶好の場所です。この浜松で型紙づくり、染め、色止め、洗いなど気の遠くなるような作業を要する伝統的な型染めの技法を今も守り続けるのが、浜松に工房を構える染色家の山内武志さんです。
紺屋を営む家に生まれた山内さんは、人間国宝の染色家・故芹沢けい介氏に師事して技の研さんを積むと共に、感性に磨きをかけ、独自の世界観を確立させます。
「すべての工程がおろそかにできないんです」と語る通り、一つひとつの工程に対して、一切の妥協を挟まないそのていねいな手仕事ぶりには、伝統工芸を生み出した先人たちへの敬意と、浜松の染め文化に対する誇りが感じられます。
そんな山内さんが生み出す布製品は、伝統的な型染めならではのやさしい肌ざわりや通気性の良さ、色の鮮やかさはそのままに、現代の暮らしにも馴染むモダンなデザインが魅力。丸や四角を組み合わせた幾何学模様や伝統の和柄をアレンジしたぬくもり感あふれる柄は、つい手に取ってみたくなる愛らしさに満ちています。色とりどりの染め物たちが、暮らしを楽しく彩ってくれます。
[N Drive 創刊号 静岡いろは掲載店]